ラ・フランスの旬や美味しい季節、栄養や効用について

あらまし

ラ・フランスは洋ナシの一品種で1864年にフランスで発見されました。日本には1903年に輸入されて以後、主に東北・北陸地方で栽培がすすみました。

山形県を筆頭に、石川県、岩手県などで生産されています。現在では日本で洋ナシといえばラ・フランスともいえるほど代名詞的な人気品種になりました。

ところでラ・フランスはその名に反して本国フランスおよびヨーロッパではでは気候があわずほとんど生産されていません。またこれも意外なことに名前は発見者の名前を取りクロード・ブランシェと名づけられており、ラ・フランスとは呼ばれていません。

木で完熟させたものを収穫して食べる和ナシと異なり、ラ・フランスはまだ固いうちに収穫したものを10日間ほど熟成させなければ食べられません。

昔は収穫直後に食べようとして「石のように固くてまずい」とされ大量に廃棄されていたというエピソードもあるほどです。しかし熟成されたラ・フランスは独特の芳香をもち、淡白な和ナシに比べるとややぬめりのある口あたりと強い甘みを持ちます。

旬の時期

出荷時期は10月下旬から12月ごろにかけてです。

栄養成分

多くの食物繊維が含まれています。とろりとした食感はその一種であるペクチンの働きによるものです。ミネラルとしてはカリウムを多く含み、ポリフェノールも豊富でタンパク質分解酵素も含有しています。

効能

水溶性食物繊維のペクチンには便秘・下痢を改善する整腸作用とともにコレステロール値をさげる働きがあり、これにより動脈硬化を防ぐことが出来ます。

カリウムには余分な塩分を体外に排出する働きがあり高血圧の予防に効果があります。ポリフェノールは強い抗酸化作用で細胞の老化・ガン化を防いでくれます。

タンパク質分解酵素はこってりした料理の消化を補ってくれるので食後のフルーツとして食べるのは理にかなっています。

形や色の特徴

一個あたり200〜300ｇという大きさで、下部の方が膨らんでいるダルマ形をしています。緑色をした果皮の表面には茶色の斑点があり、そのワイルドな見た目と繊細な味とのギャップにインパクトがあります。

代表的なレシピ

一口大に切ったラ・フランスを生ハムで巻けば簡単でオシャレな前菜になります。果肉の甘みをハムのしょっぱさがひきたてる絶妙のコンビネーションがあじわえます。

家庭における保存方法

完熟したものは傷みがはやいためビニール袋に入れて冷蔵庫で保存してください。ビニール袋に入れるのは乾燥を防ぐためとラ・フランスからのエチレンガスが冷蔵庫内に充満しないようにするためです。長期保存には向いていないため早めに2,3日中に食べきるようにしましょう。

ラ・フランスなどの洋ナシは冷凍することも出来ます。皮をむいて芯を取除いたものを串切りにしたら、変色を防ぐためにレモン汁を絡めて、ラップを敷いたバットに並べて冷凍します。冷凍した場合の食感は少し粘り気のあるシャーベットのようになります。

店における食べ頃

軸の周辺がやわらかく、香りのよいものを選んでください。店頭で売っているものはほとんどが追熟が済んでいてすぐ食べられるものですが、食べてみて甘みが足りない場合は追熟をさせることが必要です。

乾燥を防ぐために紙袋に入れて15〜20℃前後の環境で一週間ほど置いて追熟させてください。このときの温度が30℃を超えてしまうと追熟に失敗してしまうので注意が必要です。追熟がうまくすすむと香りが芳醇になります。そして軸の近くの実を指で軽く押したときやわらかさを感じられるようになれば食べ頃です。