マルメロの旬や美味しい季節、栄養や効用について

あらまし

マルメロはバラ科マルメロ属の落葉高木です。中央アジアが原産地でヨーロッパではギリシア・ローマ時代から栽培がはじまりました。

見た目がカリンに良く似ていることから西洋カリンとよばれることもあります。ボケ属のカリンとは近縁ですが種が違います。しかし薬効などはカリンとほぼ同じであり、中国では古くから咳止めやのどの痛みの緩和に用いられてきました。

マルメロというのはポルトガル語の「marmelo」から直接来た言葉です。ポルトガル語でマルメロの砂糖漬けをマルメダーラ「marmalade」といいこれがマーマレードという言葉の由来となったという説もあります。

日本へは17世紀に伝来しました。涼しい地域が栽培に適しており、長野県の生産だけで全国シェアの8割を占め、以下青森県、秋田県と続きます。 　

旬の時期

収穫は５月頃から7月ごろまで続きます。

栄養成分

主成分である糖分のほか食物繊維が豊富で、酸味と苦味のもととしてリンゴ酸（クエン酸）とポリフェノールを、ミネラルとしてカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムを含みます。

効能

食物繊維は便秘解消以外にも腸内での糖や脂肪の吸収を妨げることによるダイエット効果が見込めます。リンゴ酸は酸味で唾液の分泌を促し消化吸収の促進に効果があります。

ポリフェノールはマルメロのほろ苦さの主成分であり、ワインやシソにもふくまれる抗酸化物質で抗がん作用などの様々な効能が認められています。

形や色の特徴

熟した果実は黄色となり、その形大きさとも西洋ナシに良く似ています。果実全体は白い細かな毛で覆われており、やや不規則にごつごつした表面を持っているのが特徴です。

代表的なレシピ

マルメロの繊維質は硬く生食はできないのでジャムやはちみつ漬け、甘露煮作りにむいています。加熱して煮詰めると色が濃い褐色に変化するのでヨーグルトなどに添えると美しい色のコントラストをつくります。

ホワイトリカーなどで漬けて果実酒をつくったりエキスのみを取り出しても同様のルビー色になります。カリンでつくったものに比べて苦味が少ないので飲みやすく仕上がります。

家庭における保存方法

まだ果皮が緑色をしているようであれば新聞紙にくるんで直射日光の当たらない場所へ黄色く熟すまで置いておきましょう。マルメロは固い果物なのである程度日持ちしますが、完熟したらなるべくはやく使い切りましょう。

ハチミツや砂糖につけておくと長期保存が出来ます。ガラス容器に薄切りにして塩水にさらしたマルメロと、同量の氷砂糖とを交互に、それぞれの層が出来るように入れ、ホワイトリカーを加えて時々容器をゆすってなじませるようにして10日間ほど置くと果肉が柔らかくなり食べられるようになります。1年以上の長期保存も可能です。

ジャムに仕立てればもっとはやく召し上がれます。鍋にカットして塩水にさらしたマルメロとその約4割ほどの分量の砂糖を加え、2〜3時間おきます。水分がにじみ出てくるのでそれを中火で煮詰めます。とろみがついたら煮沸消毒した瓶に入れて保存しましょう。

　

店における食べ頃

旬は10月から11月の秋です。店頭ではカリンとの見分けがつきにくいですが、果皮の表面に細かい毛が生えているのがマルメロの特徴です。完熟したものは黄色をしていますが、緑色のものを購入しても上記した方法により家庭でも完熟させることが出来ます。

マルメロはミネラルではカリウムが、ビタミンではB群を多く含み、その一種であるパンテトン酸（ビタミンB５）は咳止めの有効成分として作用するほか、ストレス性のニキビを治療する効果もあるとされています。